鼻は外鼻(がいび)と鼻腔(びくう)、副鼻腔(ふくびくう)により構成されます。
特に鼻腔には、穴の中を通る空気を暖め、湿気を与え、埃などの異物を取り除き、さらに匂いを感じるといった多くの重要な機能があります。
鼻の病気には、主に以下のようなものがあります。
主な鼻の病気
アレルギー性鼻炎(あれるぎーせいびえん)
アレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となる物質)を吸入することで、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が出ます。のどに痒みを伴うことはありますが、風邪と違って痛みや熱がでることはあまりありません。
アレルゲンの内、花粉(特にスギ)によって症状が引きおこる場合を花粉症といいます。
通年性(つうねんせい)のアレルギー性鼻炎の場合はダニやハウスダストによるものが多いです。内服や点鼻薬による症状を抑える治療が一般的ですが、他の治療としてレーザー治療や舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)などがあります。
急性鼻炎(きゅうせいびえん)
風邪と言われるのは、主にウイルスによって起こる鼻、のど、気管に起こる急性の炎症を指します。
急性鼻炎とは急性の炎症が鼻の粘膜に起こった、いわゆる鼻風邪で、鼻水やくしゃみ、鼻づまりのほかに、多くの場合、鼻の痛みや咽頭痛、頭痛、発熱、全身のだるさ、食欲不振などを伴います。ひどくなると中耳炎や副鼻腔炎を起こすこともあります。
慢性鼻炎(まんせいびえん)
急性鼻炎を繰り返したり長引かせたりすると、鼻炎が慢性化することがあります。鼻の粘膜が赤く腫れて鼻づまりが起こり、色のついた粘り気のある鼻水が長い間出ます。早めの耳鼻咽喉科への受診をお勧めします。
急性副鼻腔炎(きゅうせいふくびくうえん)
風邪の症状が出てから1週間ほどすると、風邪に続いて細菌感染が副鼻腔に起こり、発症します。膿のような鼻汁が出ることがあります。頬や目の奥の痛み、頭痛、頭の重たい感じ、発熱などをともなうことがあります。
時に激しい痛みを生じることがあり、点滴治療や手術が必要になることがあります。
慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)
急性副鼻腔炎が治らずに慢性化した病状を慢性副鼻腔炎と言います。がんこな鼻づまり(鼻閉)で、一般的に「蓄膿症」と言われます。
症状としては、鼻汁が絶えず出て来て、よく鼻をかむ、のどに落ちる、常に鼻がつまっていて、口で呼吸をしている、いびきをかく、においがわからない、頭痛がするなどがあります。
CTを撮影することで容易に診断が可能です。
軽ければ薬物治療で治りますが、鼻茸(はなたけ、ポリープ)が多かったり、複数の副鼻腔が高度に障害された例では手術を勧める可能性があります。
鼻出血(びしゅっけつ)
いわゆる"鼻血"と呼ばれる症状で、特に子どもの鼻血は日常よく見られます。その原因として、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、鼻風邪などがあります。これらの病気のために鼻の粘膜が荒れて出血したり、鼻水や鼻の痒みのため鼻をよく触って鼻の粘膜を傷つけ、出血したりもします。
多くの鼻血は入り口付近からの出血で大きな問題にはならないことが多いですが、出血がなかなか止まらない場合(特に大人の方で高血圧の既往がある方や血液をサラサラにする薬を飲んでいる方)や鼻血を繰り返す場合は、当院を受診してください。